税務調査で調査官はどこを見る?調査官が見るポイント4つ

こんにちは。兵庫県明石市のひとり税理士、平太誠です。
税務調査において、真っ先に気になるのが「一体どこを見られるんだろう?」という点ではないでしょうか。
帳簿をすべてチェックされるのか、プライベートな支出まで見られるのか……と不安になる方も多いでしょう。
今回は、税務調査で調査官が実際に確認するポイントについて、具体的にご紹介します。
事前に知っておくだけでも、不安はかなり軽くなります。
調査官が見るポイント①:売上の計上漏れがないか
最も重視されるのは、「申告された売上が本当にすべて計上されているか」という点です。
調査官は、以下のような資料をもとに、売上の計上漏れや除外がないかを確認します。
・請求書、領収書の控え
・通帳の入金履歴
・POSデータや予約システムの記録、スケジュール帳
・現金売上帳・手書き伝票などの補助簿
・その他PCデータなど
通帳に記載された入金が帳簿に計上されていない場合、「売上除外」をまず疑われることになります。
特に、現金取引の多い業種や、副業的に収入があるケースでは厳しくチェックされがちです。
調査官が見るポイント②:経費の内容と妥当性
経費が業務に関連する支出であるか、「事業に必要なものかどうか」も重要なチェックポイントです。
調査官は、以下のような点を見ています:
・飲食費や交際費が、誰との・どんな目的での支出か明確になっているか
・家事関連費(自宅家賃・光熱費・通信費など)の按分が妥当か
・高額な備品・消耗品の用途が業務に必要かどうか
・領収書の宛名・日付・金額に不審な点がないか
特に、プライベートと業務の境界が曖昧な支出は注意が必要です。
たとえば「家族との外食を会議費で落としている」、「家賃の全額を経費にしている」といったケースは、調査で指摘されやすくなります。
また、外注費などがある場合、外注費と紐づく売上が計上されているかの確認も行われます。
調査官が見るポイント③:現金・預金の出入り
帳簿の数字と、実際の現金・預金の動きに矛盾がないかもチェックされます。
具体的には、次のような点を見ています:
・現金残高の記録と、実際の保管状況(レジの中身など)が一致するか
・預金口座からの出金が、帳簿と整合しているか
・借入や返済の処理が明確になっているか
現金出納帳をつけていない場合、現金の管理がルーズだとみなされ、不審に思われる原因となります。
定期的に残高を合わせることが大切です。
調査官が見るポイント④:通帳・カード明細・私的口座
プライベート口座やクレジットカードの利用明細も確認されることがあります。
特に個人事業主の場合、業務とプライベートの資金管理が混ざりがちなので、
・通帳に入金があるのに帳簿に反映されていない
・クレジットカード明細に業務用支出が含まれているが、経費にしていない(または逆に私用を経費にしている)
といった点がチェックされます。
私的な口座について、「プライベート部分なんだから見せたくない」と拒否しても、調査官は、「事業に関係しているものがないかを確認したい」と食い下がってきます。
もし、その場で見せることを拒否できたとしても、調査官は銀行に照会をかけて、容易に口座の内容を確認することができます。
プライベート部分だからといって提示を拒否することは、全く意味が無いのでするべきではないでしょう。
逆に疑いが強くなってしまいます。
まとめ
税務調査で調査官が注目するのは、
- 売上の計上漏れがないか
- 経費が事業に関連しているか
- 現金・預金の動きに不審な点がないか
- 帳簿と証拠資料の整合性
といった、「申告内容が正しいかどうか」を確認するためのポイントです。
いずれも、日頃からの適正な帳簿管理ができていれば、恐れる必要はありません。
事前に調査官の視点を知り、準備しておくことで、安心して調査当日に対応しましょう。
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