AIやデータ連携によって税務署の目は厳しくなったのか?

こんにちは。兵庫県明石市のひとり税理士、平太誠です。
「最近、税務署はAIやデータ連携を活用して、税務調査を行っている」という話題を聞いたことがある方も多いでしょう。
一昔前に比べると、明らかに税務署の調査手法は劇的に変わってきています。
今回は、AIやデータ連携によって、税務調査がどう変わってきたのかについて解説します。
税務署はAIをどのように使っているのか?
国税庁は、ここ数年で税務調査にAIやビッグデータ解析を本格導入しています。
具体的には、次のような調査対象者を選ぶ際の作業にAIが活用されています。
・申告内容と過去の膨大なデータを比較し、不自然なパターンを発見
・業種ごとの平均値と比較して、極端にズレているものを抽出
・経費の異常な増減や売上の不自然な変動を検知
これにより、これまで人間の目と経験に頼っていた「調査対象者の選定」が、より客観的・効率的になっています。
つまり、税務署の担当者の勘や経験だけではなく、データに基づいた「怪しいパターン」を自動で抽出する仕組みができあがっています。
これまでもデータの分析は行われてきましたが、AIの活用・進化によって、さらに精度を増している印象です。
データ連携による情報収集とは
近年、様々な取引がデータ連携されています。
これにより、税務署は、いろいろな情報源からデータを収集・照合することができます。
代表的なものとして、
・銀行やクレジットカード会社からの取引情報
・マイナンバー制度を通じた資産情報
・オンライン決済サービス(PayPayなど)情報
・不動産取引、株式売買、保険契約の情報
すべての情報がデータ化されており、以前よりも格段に税務署に発見されやすくなっていると言えます。
「どうせバレない」は通用しない時代に
昔は、現金商売で帳簿をあまりきちんとつけていなくても、見つかりにくいことがありました。
しかし、今では銀行取引やオンライン上で取引記録が残っているため、申告していない収入などは、かなりの確率で把握されてしまいます。
また、現在の税務調査の選定は、AIが大量の申告データを分析し、異常パターンを抽出することで対象者を絞り込んでいます。
データ上で「この人は怪しいな」とロックオンされてから調査が来る時代になっているのです。
まとめ
AIやデータ連携によって、税務署の目は以前よりずっと厳しくなっており、税務調査の確度が上がったことは、最近の報道でも発表されています。
国税は、個人・法人問わず日本全国の全ての申告データを抱えているわけですから、そのデータをAIで分析するとなればその威力は強力です。
これからも益々、税務調査の精度は上がっていくことでしょう。
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