家族に給与を払うと節税になる?

こんにちは。兵庫県明石市の税理士、平太誠です。
個人事業主の場合、家族へ支払う給与は、原則、経費にできません。しかし、一定の要件を満たすことで、経費にすることが認められています。
個人事業主が家族に給与を支払う際のポイントや注意点についてわかりやすく解説します。

専従者給与が経費になるための条件(青色申告者の場合)

個人事業主が、配偶者や親・子どもなどの家族に対して給与を支払う場合、その支出を経費として落とすには、「専従者給与」という制度を使う必要があります。
この制度は、「青色申告者専用」のルールであり、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出していること
    • その年の3月15日までに提出(新規開業の場合は開業から2ヶ月以内)
  2. 配偶者や親族が「専従者」に該当すること
    • その年の6ヶ月超、事業に従事していること(他所で勤務している場合は不可)
  3. 支払う金額が「適正」であること
    • 家族だからといって相場以上の高額給与を払うと認められない場合があります。
  4. 実際に支払っていること・帳簿に記録していること

これら全ての要件を満たせば、家族に支払った給与を経費として計上できます。

どれくらいの給与額が適正なのか?

調査でよく問題になるのが、給与額が「適正かどうか」です。
たとえば、実際には週1回しか手伝っていないのに、月30万円を支払っているようなケースは「不相当に高額」と判断され、経費として認められない可能性があります。

ポイント:

  • 実際の勤務時間
  • 仕事内容(経理、発送、接客など)
  • 他人を雇った場合の相場

を基準に考えましょう。家族だからといって特別扱いして高額にしすぎないよう注意が必要です。

法人の場合はより自由

ちなみに、法人の場合、家族であっても「従業員」の一人として扱うため、一定の手続きを踏んでいれば原則として給与を経費にできます。
ただし、以下の点に注意が必要です:

  • 給与の金額は「仕事内容」に見合った額であること
  • 毎月の支払いや源泉徴収、年末調整などを正確に行っていること
  • 役員にする場合は「役員報酬」として定期同額給与などのルールが適用される

青色専従者のルールと比べ、やや自由度はありますが、同じく勤務実態に即した金額で給与を支払うことが必要です。

まとめ

家族に支払う給与は、きちんとルールを守ることが大切です。
要件を満たさずに形だけで支払っていると、税務調査で認められない可能性もあります。

  • 青色申告者は事前届出と勤務実態を整備
  • 金額は他人を雇った場合の相場を参考に
  • 法人の場合も、役員報酬や源泉徴収の管理が重要

こうした基本をしっかり押さえておきましょう。



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